気候変動の影響が世界各地で見られる中、その範囲は異常気象にとどまらず、人々の健康と命の問題にまで拡大しています。
2023年、世界は過去10万年で最も高い気温を観測し、日本でも各地で最高気温30℃以上の真夏日が過去最長を記録、35℃以上の猛暑日も過去最多を更新しました。世界的医学誌『ランセット(The Lancet)』が主宰する気候変動と健康に関する国際共同研究事業である「ランセット・カウントダウン*(Lancet Countdown)」は、「健康と気候変動に関する2023年報告書」において、気候の変化に伴って健康上のあらゆる側面が悪化し、気候変動対策がこれ以上遅れれば、健康への脅威がより深刻なものになる可能性があると結論づけています。
特に子どもは環境要因に対して左右されやすく、変化に脆弱な部分をもっています。 気候変動は次世代を担う子どもの健康問題であり、現在進行形で起こっている危機なのです。
*ランセット・カウントダウン(Lancet Countdown)とは
有力医学誌ランセットが主宰し、世界50以上の学術機関と世界保健機関(WHO)、世界気象機関(WMO)、欧州疾病予防管理センター(ECDC)をはじめとする国際機関に所属する100名以上の科学者・医療従事者の専門知識を結集する国際研究事業。気候変動対策が不十分なことで公衆衛生上に大きな進歩が見られた過去50年間の医学の成果を後戻りさせてはならないと警鐘を鳴らす。
毎年、気候変動が健康に及ぼす影響、気候変動対策が健康にもたらす恩恵を40以上の指標でモニタリングし、最も包括的な評価を行う。